【キャリアアップ!冨田将一朗】ターンキー差別化の要素は?
冨田将一朗です。
私が仕事をする半導体業界には、「ターンキー」という事業を行う企業が存在します。
ターンキーはTurn the Keyが語源で、鍵を回すだけの状態をサービスとして提供する形態です。半導体で言えば、ICの仕様書(鍵)を準備(回す)さえすれば、完成品を受け取ることができる、というものです。
有名どころで言えば、台湾の世界最大手ウェハファブTSMC系のGUCや、UMC系のFaraday、Alchipなどが有名です。中国SMIC系のBriteなどもあります。
ちなみにターンキーと似たビジネス形態として「ODM」がありますが、これは製品自体がODMによる設計です。購入側にとっては、まったくの他社製品です。ターンキーは、少なくとも購入側で仕様決めに関わらなければいけません。
で、このターンキー、何が差別化要素なの?という話。
ターンキー差別化の鍵は、3つあると思っています。設計・IP・製造です。この3つをソリューションとして提供すること、これが大きな要素です。
SoCなどの大規模回路をいかにスムーズに設計するか、そしてそのために豊富なIPラインナップを持つ。これで顧客から数百から数千万の開発費を得られるでしょう。実際の製造は、ファウンドリとの関係が肝になるでしょう。だからこそ、TSMCやUMC系など、ファウンドリ資本のターンキー企業が損沿いするのです。
半導体業界にいる私が考える、ターンキーを使う理由。それは、「楽をしたいから」です。昔、誰かが、「事業が成功するのは、今より簡単になるか、楽しくなるかだ」と言っていましたが、まさにその通りですね。
冨田将一朗